【零~濡鴉ノ巫女~】リマスター発売記念! 『零』シリーズの魅力とは?
ジャパニーズホラーの金字塔『零』シリーズをご存知だろうか。 「射影機」というカメラで幽霊を撮影し、過去に起こった出来事の真相を紐解いていくホラーゲームである。 発売元はコーエーテクモゲームスだ。
最新作『零~濡鴉ノ巫女~』の発売が2014年だったこともあり、最近では「過去の名作」扱いだったが、その『零~濡鴉ノ巫女~』リマスター版の発売が2021年内に決定した。 対応プラットフォームはNintendo Switch/PlayStation4/PlayStation5/Xbox X/S/Xbox One/Steamとなっている。
この機会に、より多くの人に『零』シリーズを遊んでもらえるよう、過去作品も含め魅力を紹介していく。
『零』がもつ4つの魅力
良いシリーズ作品の持つ魅力とは、良い部分が変わらず踏襲されていることがひとつ。そしてアップデートを重ねていく点だろう。
『零』にもシリーズを通して変わらない魅力というものが存在する。今回は代表的な4つの魅力をまとめてみた。
魅力1美しいキャラクターモデリング
コーエーテクモが開発しているこのゲーム、キャラクターのモデリングは相当こだわって作られている。
特にこだわっているのはキャラクターの後ろ姿である。
本作はTPS(三人称視点)であるため、プレイヤーは常にキャラクターの背中を見ながらプレイすることになる。
そのため、キャラクターの背中をいかに美しく見せるか、という点についてこだわり抜かれているのだ。
その他、少女たちが怪奇現象に怯える繊細な表情なども見逃せない。
魅力2過去に行われた凄惨な儀式
『零』はどの作品でも過去、凄惨な儀式が行われている。
死者の世界と現実を繋ぐ扉を封印するため、人身御供などが行われていたのだ。
プレイヤーは、キャラクターたちと共にこれらの儀式の爪痕を、悲劇を、読み解いていく。
魅力3幽霊をファインダーに捉え続けなければいけない恐怖
本作のキャラクターたちは「射影機」という古いカメラを使い、「ありえないもの」を撮影していく。
これは散りばめられた謎を解く鍵であり、攻撃や防御の手段でもある。
幽霊などの恐ろしいものからは、なるべく目を背けたいものだ。
しかし、『零』のシステムはそれを許してくれない。
常にファインダーを覗き込み、近づき、恐ろしいものを捉え続けなければならない。
魅力4真相究明の架け橋となる大量のアーカイブ
本作のキャラクターたちは、作中で多くを語らない。
よってプレイヤーは、舞台背景からキャラクターの心情までもを、道中各所で手に入るアーカイブから推察するのだ。
点と点を繋ぎ線を作っていく作業は推理ゲームとも言えるかもしれない。
シリーズ作品紹介
ここからは、2021年現在までに発売されている『零』シリーズのタイトルをひとつずつ紹介していく。発売されているプラットフォームの関係上、今から全作品をプレイするのは難しい。ストーリーはひとつひとつのタイトルが独立しているので、『零~濡鴉ノ巫女~』のリマスター版からぜひ遊んでみてほしい。
零~zero~(2001年/PlayStation2)
あらすじ
主人公「雛咲深紅(ひなさきみく)」は、霊感体質の少女。
幼い頃から「ありえないもの」が見えてしまうことで心を閉ざし、兄だけを唯一の頼りとして生きてきた。
そんな兄が突如として失踪、手がかりを辿り、深紅は廃墟となった日本家屋「氷室邸」を訪れる。
氷室邸では過去、「縄の巫女」なる人物が執り行う儀式があった。
深紅は兄を追いながら、屋敷に染み付いた物語と真実に向き合うこととなる。
キーワードは「兄妹」。
兄を慕っている妹と、妹の特異体質を心配し守りたいと思っている兄。
妹の深紅が兄に向ける感情は、果たして兄妹愛なのか、異様な依存なのか、それとも……。
零~紅い蝶~(2003年/PlayStation2)
あらすじ
姉の繭(まゆ)と妹の澪(みお)は双子の姉妹。
過去の事故で、澪の不注意から繭の片足を不自由にしてしまい、澪は罪悪感を抱いたまま繭に接している。
ある日、とある廃村に迷い込んでしまった二人は、恐ろしい出来事を目の当たりにしていく。
キーワードは双子。
二人が迷い込んだ廃村には双子をモチーフとしたものが多く存在している。
忌まわしい儀式と、双子の間に漂う歪にして美しい絆が絡み合う。
零~刺青の聲~(2005年/PlayStation2)
あらすじ
フリーカメラマンの黒澤怜(くろさわれい)は、自分の運転する車が事故に合い、同乗していた婚約者を亡くしてしまった。
彼女が感じたのは生き残った喜びよりも、生き残ってしまった罪悪感。
癒えない喪失感の中、幽霊屋敷の撮影に向かった怜は、撮影中に不思議な白昼夢をみる。
幽霊屋敷で死んだはずの婚約者の姿を見た怜は、彼の後を追いながら幽霊屋敷に囚われ、浸食されていく。
キーワードは残されたもの。
件の幽霊屋敷に招かれるのは、この世に残されてしまった者たち。
大切な人を喪い虚ろに生きる日々が、恐怖に彩られていく。
零~月蝕の仮面~(2008年/Wii)
あらすじ
現在は人の姿が消えてしまった朧月島。
祭りの神楽舞を踊った少女5人が神隠しにあい、行方知れずになった。
その事件から十年後、何かに導かれるように少女たちが朧月島へ向かう。
かつて暮らした面影を追いながら、神隠しの真相を探っていく。
キーワードは仮面。
神楽舞の儀式に必要となる仮面。
少女たちにとってどのような意味があるのだろうか。
零~濡鴉ノ巫女~(2014年/WiiU)
あらすじ
死を望む人々が訪れる日上山。
命は水に溶け、流れ、山に還り循環する。
「山に呼ばれてしまう人々」は地上に戻れるのか、それとも静かな眠りにつくのか。
キーワードは幽婚。
日上山では、死者と結ばれるための幽婚と呼ばれる儀式が存在する。
独りで亡くなった死者の魂を鎮めるためのものだ。
本作のプレイアブルキャラクターは不来方夕莉(こずかたゆうり)、雛咲深羽(ひなさきみう)、放生蓮(ほうじょうれん)の三人だが、全員がそれぞれの理由で幽婚に関わっていく。
零はシリーズを通して死に惹かれてしまう人々を描いているが、その姿は危うくもどこか美しさを感じさせる。
プレイヤーは様々な「死」を通して自分の「生」を実感することとなるだろう。