2020年春からのコロナ禍により一時は今後が危ぶまれたアナログゲームだが,巣ごもり需要での手軽な遊びやオンライン飲み会での話題の一つとして,コロナ禍の中でも意外な盛り上がりをみせた。また『ボードゲームアリーナ』のようなオンライン上でボードゲームを遊べるサービスも流行。危機の中でも,オンラインでアナログゲームを使って遊ぶというのが,スタンダードのな遊び方の一つにもなった。
今回紹介する「ココフォリア」もその一つ。インターネット上のみで遊ぶTRPGのことを「オンラインセッション」と呼ぶが,ココフォリアはオンラインセッションを補助するツールだ。友人と対面して遊べない中,それでもTRPGが遊びたい! という需要の中でココフォリアも発展してきた。 この記事ではそんなオンラインセッションをこれから使っていきたいTRPGプレイヤー,そしてオンラインセッションにより手軽に遊べるようになったTRPGを新しく始める新規プレイヤーに向けて,オンセッションツール「ココフォリア」の導入と使い方について紹介していく。
- TRPGとは?サイコロと会話で遊ぶRPG
- ココフォリアって何?初めてのオンラインセッション
- ココフォリアでTRPGを始めよう!
- 初めてのTRPGにおすすめなタイトル
- TRPGをより遊びやすく 「ココフォリア」でオンラインセッションを手軽に
TRPGとは?サイコロと会話で遊ぶRPG
TRPGとは,テーブルトーク・ロールプレイングゲームと呼ばれるアナログゲームの一つだ。複数人で一つのテーブルを囲んで,それぞれがキャラクターを演じながら一つの物語を作り上げていくのが特徴だ。物語の世界に入り込むというその自由度の高さで多くの人を魅了し,50年近くもの間遊ばれてきた。
ココフォリアって何?初めてのオンラインセッション
ココフォリアとは,現実世界で集まって遊ぶTRPGをインターネット上で遊べるようにするWebツールだ。チャットやダイスロールなどオンラインセッションに必要な機能を備えているほか,マップや駒,BGM,シーンの切り替えなどをカスタムが出来る。一般的なTRPGであれば,これらの機能で遊ぶことが出来るだろう。
ココフォリアはいくつかあるオンラインセッションツールの中でも、手軽で使いやすく人気のあるツール2019年のリリース以来アップデートが続けられてきた。今後もユーザーの意見を取り入れた機能の実装が発表されており,これからもより使いやすくなりそうだ。
より良い機能の開発のため,ココフォリアでは開発支援も募集している。ココフォリアを利用して開発を応援をしたいと思ったなら,ぜひ支援をしてみてはいかがだろうか。
ココフォリアでTRPGを始めよう!
ここまでの説明で,TRPGとココフォリアがどういったものか大まかに理解して頂けたかと思う。ここからはより具体的にココフォリアを使ったTRPGのオンラインセッションについて紹介しよう。
TRPGをオンラインで遊ぶために必要なもの
まずはTRPGを遊ぶ上で必要なものだ。リアルで会って遊ぶ場合にはこの他にサイコロ(ダイス)やペン,紙などが必要になる場合がある。大抵はルールブックに必要なものが記載されているため,詳しくはそちらを参照してほしい。
ルールブック
TRPGを遊ぶ上で基本となるのがこのルールブック。ルールブックにはゲームのルールのほか,そのタイトルの世界観設定なども記載されていることが多い。あなたがGMとしてゲームに参加するなら,プレイの前に一度目を通しておいたほうが,ゲームの進行がスムーズになるはずだ。
ルールブックは、GMなら必ず一冊は用意し,各プレイヤーも同じルールブックを所持しているのが好ましい。『クトゥルフ神話TRPG』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ』など,プレイヤー用に無料でルールが用意されている場合があるため,公式サイトを一度チェックしてみるといいだろう。
シナリオ
ルールブックに加えて必要なのがシナリオだ。ルールブックにはシンプルなシナリオがついていることが多いためわざわざ別で準備する必要はないが,二回目のプレイで別の面白いシナリオを楽しみたい! といった場合もあるだろう。そのような際に役立つサイトをここで紹介しておく。ココフォリアと同じ運営会社が提供している「TALTO」というサービスだ。
シナリオはその多くがファンの作成したもので,人気タイトルであればすぐに面白いシナリオが見つかるだろう。一方なかなか好みにあったものが見つからない,ということもあるかもしれない。その際は,自分でシナリオを作ってみることも考えてみてほしい。(もしかしたら,そこは新たな”沼”になるかもしれない)
友人
TRPGはその性質上,共に遊んでくれる参加者が必要となる。よく遊ぶ友人はもちろん,学校の先輩や会社の同僚など,色んな人に声を掛けてみよう。もしかすると,その中には熟練のTRPGプレイヤーが潜んでいるかもしれない。
SNS上で探してみるのもひとつの手だ。TRPGでは会話が中心となる遊びのため気の知れた人と遊ぶのがゲームを楽しむコツだが,こういった所から新たな友人が生まれることもあるだろう。
通話ソフト
ココフォリアにはチャットツールが実装されているため,それだけでもプレイすることは可能だが,やはりお互いに声を交わせる状況のほうが遊びやすい。「LINE」や「Discord」など,普段使っているような快適に通話が出来るツールで構わない。
アカウント作成・ログイン
さて,TRPGを遊ぶ上で必要なものが揃ったら,いよいよココフォリアでゲームの準備をしよう。 ココフォリアでは,TwitterアカウントもしくはGoogleアカウントをつかったアカウント作成・ログインが可能だ。アカウントを作らずにゲストとして参加することも可能だが,GMの場合は部屋を立てる際にアカウントが必須となるため,予め作成しておくと良いだろう。
ゲームマスターとして参加する
アカウントを作成したら,次は参加者が集まる部屋を準備しよう。ここでは,GMとしてゲームの司会をする上で必要な,部屋の建て方とゲームの準備の仕方について紹介する。
①部屋の作成
ログインをしてすぐ,マイルーム一覧の右下にある赤い+マークから部屋を作ることができる。
すると作成する部屋の設定が出てくるので,ルーム名を設定し工事中モードにチェックを入れよう。
ルーム名の下にあるダイスボットは,ゲームで使うダイスを設定できるものだ。 ゲームごとにダイスが用意されており商業作品であれば一通り揃っているため,これから遊ぶタイトルを検索し設定しよう。もし一覧に無い場合はデフォルトのDiceBotで構わない。
設定が完了したら保存を押し,先程のマイルーム一覧から入室だ。
②背景
部屋に入室すると真ん中に大きなグリッドが出てくる。これが今回ゲームを遊ぶためのテーブルとなる。これでも遊ぶことは可能だが,少し味気ないので今回は背景を設定してみよう。
右下のペンマークから「前景・背景を変更」を選ぶと画像選択画面が表示される。
ここに画像をアップロードすると,好きな画像を背景として設定できる。フィールド設定で画像の縦幅と横幅を設定できるが,画像の比率が4:3なら縦幅40横幅30で問題ない。その他の比率の場合は,都度合わせると良いだろう。
③マップや画像を配置する(スクリーンパネル)
ココフォリアではマップやゲームの情報をプレイヤーと共有して,ゲームの展開を盛り上げたり,分かりやすく進められる。先程,背景を設定したときと同様に右下のペンマークから,「スクリーンパネルを追加」を選んで画像をアップロード。アップロードした画像を選んでパネルに設定出来る。パネルをドラッグすれば好きなところに置ける。
設定したパネルは予め非表示にしておくことも可能だ。ゲームの進行に伴ってマップや情報を表示していけば,ゲームが盛り上がることだろう。
④NPCを用意する
マップの用意が出来たら次はNPCだ。敵キャラクターや村人など,プレイヤーがついていないキャラクターを登場させよう。キャラクターは,右上にあるアイコンの人の顔をしたマークから追加が出来る。マイキャラクター一覧から「+」を選択するとキャラクター編集画面が出てくる。
左上の人のシルエットからキャラクターの立ち絵を追加し,名前を設定しよう。マップや背景に合わせて駒サイズを設定し,最後に「盤面に追加」を押せば画面上にキャラクターが出現する。
キャラクターを右クリックして,編集を押せば再びキャラクターの設定が編集できる。編集画面でキャラクターのステータスやその他の情報を設定しておけば,ゲーム中に表示させることもできるため,余裕があれば設定しておこう。
⑤部屋のリンクを共有する
最後に部屋のリンクを参加者に共有すれば準備完了だ。左上のルーム名からURLをコピーすることが出来る。なお部屋にはパスワードを掛けることができないため,部屋のリンクさえ知っていれば誰でも入れてしまう。ゲームの参加者のみに共有するようにしよう。
プレイヤーとして参加する
プレイヤーとしてゲームに参加する場合,事前に準備すべきことは自らが演じるプレイヤーキャラクター(PC)を作成することくらいだろう。自分で設定を考えたキャラクターはきっと愛着が湧き,ゲームへ参加する意欲も高まるだろう。
PCの作成はゲームルールごとに違ってくるため,事前にプレイヤー用のルールに目を通してキャラクターを作成しておこう。ここでは,ココフォリア上でのプレイヤーキャラクターの追加方法について紹介する。 ゲームマスターからもらったURLから部屋に入る GMの準備が整ったら,部屋のリンクが送られてくることだろう。リンクから部屋に入ると,ゲームの用意が進められているはずだ。
キャラクターを用意する
キャラクターは右上にある人の顔をしたアイコンから作成できる。アイコンをクリックしマイキャラクター一覧の「+」から作成しよう。キャラクター編集画面の上から立ち絵と名前を設定し,最後に「盤面に追加」を押すと画面上にキャラクターが登場する。
キャラクターを右クリックし,編集を押すと再び編集画面が現れる。編集画面ではキャラクターのステータスや立ち絵の差分,キャラクターメモなどを設定可能だ。キャラクターメモを設定すると,キャラクターに関する情報を駒の上にオーバーレイさせることが出来る。余裕があれば設定しておくといいだろう。
立ち絵
立ち絵は,キャラクターのビジュアルだ。自分で作成してもいいし,TRPG用に配布されているものを使ってもいいだろう。立ち絵を設定することで,自分の作成したキャラクターに対しての愛情がより強まるはずだ。
ダイスロールについて
ダイスロールは,ゲームとしてTRPGを遊ぶ上で重要な要素だ。リアルで集まって遊ぶ場合にはダイスを振るだけでいいが,ココフォリアではこれをチャットで行う。
例えば6面ダイス(1から6までの一般的なサイコロ)をダイスロールする場合,画面右側に表示されているチャット欄に「1D6」と入力する。するとダイスロールが行われ,結果が表示される。1はダイスを一つ,DはダイスのD,そして6が6面ダイスを意味している。つまり「1D6」とは,「6面ダイスを1つ振る」ということだ。
数字の部分を変えれば,10面ダイス(1D10)や20面ダイス(1D20)といった多面ダイスでも簡単にダイスロールが出来る。はじめは慣れないかもしれないが,うまく使えば複雑なダイスロールも簡単に出来てしまう便利な機能だ。
また部屋のダイスボットにゲームシステムが設定されている場合,チャット欄の右下の「?」から,使用できるダイスロールのコマンドを参照することができる。遊んでいるゲーム特有の複雑な判定を簡単に行えるため,目を通しておこう。
準備完了! ゲームを楽しもう
ここまで来れば,TRPGとして一通りのプレイは楽しめるはずだ。あとはGMの進行に任せて,思う存分ゲームを楽しんでいこう。
初めてのTRPGにおすすめなタイトル
最後に,初めてのTRPGを遊ぶプレイヤーに向けておすすめのタイトルを紹介しておく。もちろん既に遊びたいゲームが決まっているのなら,まずはそちらを遊んでみるのが一番良いだろう。
終末紀行RPG
最初に紹介するのは同人サークル「DONKEY HEAD QUARTERS」から発売されている「終末紀行RPG World's End Journey」だ。プレイヤーは人類最後の一人となった人間と,それに付き添うロボットとして,文明が滅んだあと世界を巡る旅に出る。 プレイ人数2~3人,プレイ時間も長くて一時間半程というTRPGにしては手軽な内容で初めてのプレイにおすすめの一作だ。手軽といってもポストアポカリプスという暗めの世界設定に加え,プレイヤーに選択を迫る場面や運の要素など,プレイには緊張感が満ちている。遊んだ後にはきっと「ふぅ……」と一息つくことになるに違いない。
エモクロアTRPG
「エモクロアTRPG」は,TRPG配信者として人気なまだら牛氏とぱぱびっぷ氏によるユニット「ダイスタス・チーム」による怪異がモチーフのTRPGだ。プレイヤーは共鳴者として,超常の存在である怪異「エモクロア」によって引き起こされる,さまざまな事件へと巻き込まれていく。
他のゲームでは購入することが前提となるのルールブックが,公式サイトにて無料で公開されており,今すぐにでも遊ぶことが出来るのが特徴のエモクロアTRPG。怪異や伝承など,ホラーが中心となっている世界観は,初めてゲームを遊ぶプレイヤーでも引き込まれていくような魅力を持ったゲームとなっている。
##クトゥルフ神話TRPG 2010年代のTRPGブームを牽引した人気TRPGがこの**「クトゥルフ神話TRPG」**だ。この作品でTRPGについて初めて知ったという方も多いだろう。ホラー小説の巨匠**「ハワード・フィリップス・ラヴクラフト」**による創作神話をもとに作られたこのクトゥルフ神話TRPG,2019年には第7版となる「新クトゥルフ神話TRPG ルールブック」も発売されその人気はますます加速している。 ゲームとしては重めの内容で,100面ダイスを使ったダイスロールや,戦闘,魔術,クトゥルフ神話の神々など,かなりやりごたえのあるゲームとなっている。初めてのプレイにはあまり向いていないタイトルだがTRPGプレイヤーの人口はかなり多いため,身の回りに経験豊富なプレイヤーがいるかもしれない。もしこれからクトゥルフ神話TRPGを始めてみたいというのなら,周りに経験者がいないか探してみるのもいいだろう。2022年配信予定のルールブックアプリでは,月額500円からルールブックが読めるようになる。これまで以上により遊びやすくなるだろう。
TRPGをより遊びやすく 「ココフォリア」でオンラインセッションを手軽に
コロナ禍により人と対面して遊ぶアナログゲームは,オンライン上でも遊べる娯楽の一つとして変化してきた。その例に漏れず,TRPGもこれまでのオンラインセッションがより発展する形で,非対面でも十分に遊べるゲームとして注目されるようになってきた。それは結果的にTRPGへのゲームの敷居を下げ,TRPG界隈の活性化につながっている。もちろんTRPGは対面して遊ぶのも楽しいが,ココフォリアのようなオンラインで遊べるような環境が十分に整ったのは,やはり非常にありがたい。
今回は導入編として紹介を見送ったが,シーンの切り替えやBGMの再生などココフォリアには便利な機能が多数存在する。是非いろいろな機能を試してみて,これからのTRPGのオンラインセッションでうまく活用してみてほしい。うまく使えば,リアルでは再現できないような体験が出来るかもしれない。