『仮面ライダーゼロワン』アメコミ版の情報まとめ!発売日から"ラグナロク"まで!【KAMEN RIDER ZERO-ONE】

2019年から2020年にかけて放送された仮面ライダーゼロワン』。AIと仕事をテーマにしたSF色の強いストーリーやスタイリッシュなライダーのデザインなどにより、現在まで根強い人気を誇っている。

さて、『仮面ライダー』は生誕50周年を迎え、『風都探偵』、『仮面ライダーBLACK SUN』、3月には『シン・仮面ライダー』が公開。これまでにない盛り上がりをみせている。そんな中、水面下で進行していた『仮面ライダーゼロワン』の新展開は…なんと、アメコミ化だった!

仮面ライダー』のコミックシリーズがアメリカから刊行されるというのはシリーズの歴史から見ても、前代未聞の出来事だ。一体どんな仕上がりになっているのか、気になっているファンも多いのではないだろうか。そこで今回は、アメリカで11月23日に#1が発売されたゼロワンのアメコミ版『KAMEN RIDER ZERO-ONEを様々な方向から徹底解説していく。それぞれの項目では、基本的な用語の紹介もしているので、アメコミ・特撮初心者も安心して読み進めてほしい。

△『仮面ライダーゼロワン』でチーフプロデューサーを務めた大森敬仁氏のツイート。喜びとともに、驚きを隠せない様子だ。

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仮面ライダー』シリーズの海外展開

海外における『仮面ライダー』シリーズと言えば、これまで『BLACK RX』をベースにした『Masked Rider(マスクド・ライダー)』や『龍騎』の海外リメイク『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT(カメンライダー ドラゴンナイト)』などが展開されてきた。

そんな中、近年『仮面ライダー』の海外展開における潮目が変わりつつある。まず触れておきたいのは、2020年に東映が立ち上げたYouTubeチャンネル『TOEI TOKUSATSU WORLD OFFICIALだ。ここでは『仮面ライダー』シリーズから厳選したエピソードが順次公開されている。

更に、Shout! Factoryが運営するストリーミングサービス『ShoutFactoryTV』に“TokuSHOUTsu”(特撮)というジャンルが立ち上がり、そこで『仮面ライダー』の一部作品が配信されているのだ。TVシリーズでは『仮面ライダー』(第1作)、『クウガ』、『龍騎』、そして『ゼロワン』が配信中。つまり、現在これらの4作は、アメリカからでも比較的アクセスがしやすい。今回のアメコミ化に際して、『ゼロワン』が選ばれた理由の1つと推測できる。

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US(アメリカ)での発売日

シリーズとして出版されるアメコミには以下のような形式が存在する。

  • ワン・ショット:1話完結の作品。日本でいう読み切りにあたる。
  • ミニシリーズ:決まった期間・話数で出版されるシリーズ
  • オンゴーイング:期間が決まっていない長期シリーズ

『KAMEN RIDER ZERO-ONE』は全4話にわたって展開される"ミニシリーズ"であることが発表済みである。ちなみに、アメコミの新作は1冊に1話が収録されるリーフという形で刊行されることが一般的。#1~#4(1話〜4話)までのUS発売日は以下の通りだ。

タイトル US発売日
KAMEN RIDER ZERO-ONE #1 2022/11/23
KAMEN RIDER ZERO-ONE #2 2022/12/28
KAMEN RIDER ZERO-ONE #3 2023/02/22
KAMEN RIDER ZERO-ONE #4 2023/03/22

出版社はStonebot ComicsとTITAN COMICS

アメコミと言えば、Marvel(マーベル)やDCが有名だが、現地では他にも多数の出版社から刊行されていることをご存じだろうか。

『KAMEN RIDER ZERO-ONE』の出版を行うのは、Stonebot ComicsTITAN COMICSという2社。このコンビは漫画版『仮面ライダークウガの英訳も同時期に発売する予定だ。一ファンとして、『仮面ライダー』を海外でプッシュしてくれることは非常にありがたい。

StoneBot Comicsはコミックブックのクリエイターがこれまでにない実験的な創作を行えるよう、サポートするために設立された出版社である。一方、TITAN COMICSは幅広いジャンルを扱うことが特徴で、その中には映画『ブレードランナー』シリーズの空白期間を描くBlade Runner 2029』や日本の人気ゲーム『Bloodborne』のコミカライズなどがある。

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マーベルや『トランスフォーマー』を手掛けた実力派制作陣

アメコミに限らず、漫画(コミック)の制作は基本的に分業で行われる。日本で言うと、例えば、原作と作画を別の人が担当するケースや背景や効果をアシスタントが描く場合などだ。アメコミが特徴的なのは、そういった役割一つ一つに具体的な肩書きが存在すること。それぞれの担当は以下のような名称で呼ばれている。

名称 担当
Writer(ライター) 脚本・ネームなどのストーリー
Artist(アーティスト) 下絵からペン入れまでを一手に担う
Penciller(ペンシラー) 下絵のみ
Inker(インカー) ペン入れのみ
Colorist(カラリスト) 彩色
Letterer(レタラー) セリフ、擬音などの文字入れ

気になる『KAMEN RIDER ZERO-ONE』の制作陣だが、これまで多くの有名作品を手掛けてきた実力派が揃っている。マーベルのドラマで脚本を務めたBrandon Easton (ブランドン・イーストン)氏や『Robotech』(ロボテック)のコミカライズに携わるHendry Prasetya (ヘンドリー・プラセティア)氏など、そうそうたる顔ぶれだ。

Writer(ライター):Brandon Easton(ブランドン・イーストン)

Brandon氏の活躍は、コミックだけに留まらない。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)と世界観を共有するドラマ『Agent Carter』(エージェント・カーター)Netflixのアニメ『Transformers: War for Cybertron Trilogy』(トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー)など、映像作品にもライターとして参加している。

代表作
作品名 媒体
Agent Carter
(エージェント・カーター)
ドラマ
Avengers Assemble
(アベンジャーズ・アッセンブル)
アニメ
Transformers: War for Cybertron Trilogy
(トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー)
アニメ
Civil War II: Choosing Sides
(シビル・ウォーⅡ チュージング・サイド)
コミック

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Artist(アーティスト):Hendry Prasetya(ヘンドリー・プラセティア)

Hendry氏は『超時空要塞マクロス』と関連が深い海外アニメ『Robotech』(ロボテック)のコミック版に数年間携わってきた。その他、『スーパー戦隊』シリーズのローカライズ作品Power Rangers』(パワーレンジャー)のコミカライズにも参加しており、日本文化への深い造詣が伺える。

代表作
作品名 媒体
Robotech
(ロボテック)
コミック
Mighty Morphin Power Rangers
(マイティ・モーフィン・パワーレンジャー)
コミック
WONDER WOMAN: AGENT OF PEACE
(ワンダーウーマン:エージェント・オブ・ピース)
コミック
Star Trek: The Trill
(スタートレックザ・スリル)
コミック

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△Hendry氏がSNSにアップした仮面ライダーアークワンのファンアート。『ゼロワン』の中でも終盤に登場するライダーを選ぶあたりがマニアックだ。

Colorist(カラリスト):Bryan Valenza (ブライアン・ヴァレンザ)

Bryan氏は様々な出版社のコミックで彩色を担当している。『Iron Man』(アイアンマン)Batman』(バットマン)などの人気作も任される超売れっ子なのだ。

代表作
作品名 媒体
Iron Man
(アイアンマン)
コミック
Batman & The Joker: The Deadly Duo
(バットマン&ジョーカー:デッドリー・デュオ)
コミック
WITCHBLADE
(ウィッチブレイド)
コミック

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△Bryan氏がHendry氏とともに描いたというイラストはなんと『仮面ライダーBLACK SUN』!日本の最新作まで追いかけるオタクの鑑ぶりが最高である。

Letterer(レタラー):Deron Bennett(デロン・ベネット)/AndWorld Design(アンドワールド・デザイン)

Deron氏はゲームOverwatchのサイドストーリーを描くコミックなどで文字入れを担当する傍ら、『AndWorld Design』(アンドワールド・デザイン)という自らが立ち上げたレタリング&デザイン事務所のオーナーを務めている。

代表作
作品名 媒体
Overwatch: New Blood
(オーバーウォッチ:新しい風)
コミック
Wolverine: First Class
(ウルヴァリン:ファーストクラス)
コミック

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新たに描き下ろされた飛電或人&イズ

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Artistを務めるHendry氏の手によって、主人公・飛電或人(Aruto Hiden)イズ(Izu)のデザインが新たに描き下ろされている。オリジナルと比較すると、どちらも幼さが消え、シャープで大人っぽい容姿になっていることが分かるだろう。実写のキャラクターコンセプトを保ったまま、アメコミのアートに馴染む方向へ違和感なく置き換える見事な手腕だ。筆者は完全に別人となることも覚悟していたので、問題なく或人&イズと認識できて一安心。むしろ、肩幅がガッチリとして、頼りがいが増した或人は非常にカッコ良い。

ゼロワンと新たな敵"Ragnarok(ラグナロク)"

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△端の矢印で画像を切り替えられる。ゼロワン⇔ラグナロク

次に仮面ライダーのデザインだが、ゼロワンの再現度は完璧と言って良い。余計な装飾がないスタイリッシュな見た目は人気が高かったが、調整なしでここまでアメコミの雰囲気に馴染むのはうれしい誤算。よく考えれば、アンダーの上に仮面と装甲が載っているスーツは覆面感が強く、アメコミヒーローに通じるものがある。元々、動かしやすいデザインなので、コミックでのアクションシーンも映えそうだ。

本作最大の見どころである新キャラクター・"Ragnarok(ラグナロク)"。全体的に刺々しく、体中を走る溶岩のような模様、真っ赤なマントも含めて、非常に攻撃的な印象だ。『仮面ライダーW』の続編『風都探偵』もそうだが、実写でやろうとすると難しいデザインに挑戦できるのは、2次元に媒体を移す大きなメリットだと改めて感じた。装着しているベルトはゼロワンの"飛電ゼロワンドライバー"に酷似しているが…果たして。変身者、能力、目的などは一切不明のため、今後の展開に注目していきたい。

序盤のあらすじを紹介

Arturo Hiden is Kamen Rider Zero-One! Along with his trusty humagear companion Izu, he’s saved the world numerous times as the insectile superhero! But when his company Hiden Intelligence is attacked by the mysterious Ragnarok, Arturo must face not only the volcanic cluster cell-powered villain, but also his own past…

飛電或人は仮面ライダーゼロワンである!彼は、相棒の秘書型ヒューマギア・イズとともに、何度も世界を救ってきたバッタのスーパーヒーローだ!だが、社長を務める飛電インテリジェンスが謎の存在・ラグナロクの襲撃を受ける。その時、或人は、volcanic cluster cell(ヴォルカニッククラスター・セル)の力を持つ敵だけでなく、彼自身の過去と向き合うことに…

引用元:TITAN COMICS
Kamen Rider Zero-One @ Titan Comics

公式から公開された4ページのプレビューとあらすじ。物語は、或人とイズがラグナロクに襲撃されるところから始まる。

注目すべきは、あらすじで"何度も世界を救ってきた"(he’s saved the world numerous times)とされている点。本作のシリーズにおける立ち位置は、TVシリーズとなる。現在時点では、ゼロワン本編の鍵を握る通信衛星"アーク"が滅亡迅雷.netの手によって復活する36話より以前であることが分かっている。

その他のポイントとしては、volcanic cluster cell(ヴォルカニッククラスター・セル)と言う聞きなれない単語が挙げられる。これはラグナロクの能力に関係していると考えて良い。そして、飛電或人が向き合う"過去"とはいったい何か。兎に角、見どころ盛りだくさんのストーリーになることは間違いない。

#1の内容と登場する仮面ライダー/フォーム

遂に発売を迎えた#1。その内容について、少しだけ紹介しよう。

冒頭では、飛電或人とイズが不破諫刃唯阿ら、対人工知能特務機関A.I.M.S.(エイムズ)の面々と話し合っている場面が描かれている。これまでの戦いを振り返りつつ、十八番であるくだらないギャグを飛ばす或人。その一方で、祖父から会社を引き継ぎ、人類のために戦うという重責に葛藤もしているようだ。そんな帰り道で襲来する未知の敵・ラグナロク。果たして、激闘の行方は…。また、最後にはあのキャラクターも姿を見せる。

登場する仮面ライダー/フォーム

仮面ライダー・フォーム 備考
仮面ライダーゼロワン 複数フォームに変身し、ラグナロクと戦う
ライジングホッパー -
バイティングシャーク -
フリージングベアー -
フライングファルコン プログライズキーのみ
仮面ライダーバルカン 回想に登場
仮面ライダーヴァルキリ― 回想に登場
ラグナロク 突然現れ、ゼロワンに襲い掛かる
フレイミングタイガー -

“ヴァリアントカバー”の魅力

アメコミ特有の文化の1つに"ヴァリアントカバー"というものがある。これは、内容は同じでカバーイラストのみが異なるコミックを複数販売する形式のことだ。それぞれのアーティストが描いた趣向の異なるカバーから、自分の気に入ったものを見つけたり、コレクションしたりすることができる。

『KAMEN RIDER ZERO-ONE』にも、様々なヴァリアントカバーが用意されている。中にはイラストだけでなく、特撮の写真を使用しているものも。#1においては、絵柄が書かれていない"ブランクカバー"や色違いも含めれば、その数なんと9種類。かなり気合が入っている。

ここでは現在発表されている絵柄を一挙に掲載する。あなたのお気に入りのカバーはあるだろうか?

KAMEN RIDER ZERO-ONE #1

KAMEN RIDER ZERO-ONE #2

KAMEN RIDER ZERO-ONE #3

KAMEN RIDER ZERO-ONE #4

購入ガイド

ここまで様々な側面から『KAMEN RIDER ZERO-ONE』を解説してきた。もしかしたら、この記事を見て「読んでみたい」と思う人がいるかもしれないので、日本から購入する方法を2パターンほど紹介しておこう。

電子書籍(Kindle)

恐らく、これが最も簡単で手っ取り早い方法だが、Amazonが運営するKindle電子書籍を購入できる。現地とほぼ変わらない価格で手に入ることも大きなメリットと言えるだろう。

Kindleでの購入はこちら

Kamen Rider Zero-One #1 (English Edition)

Kamen Rider Zero-One #2(English Edition)

Kamen Rider Zero-One #3 (English Edition)

Kamen Rider Zero-One #4 (English Edition)

紙(リーフ)

「紙でゲットしたい」という人は、アメコミの原書を輸入・販売しているお店を利用するのがオススメだ。秋葉原のアメコミ専門店ブリスターコミックス』では、現在オンラインショップにて、『KAMEN RIDER ZERO-ONE #4』の予約が受付中。現地から輸入しているため、入手自体は電子書籍より遅れてしまうが、紙にしかない味わいというものは確かにある。気になった人は『ブリスターコミックス』の公式Twitterをチェックしてみよう。

blistercomics.jp

おまけ:アプリ『DeepL翻訳』のススメ

「アメコミを読んでみたいけど、英語が……」

そんな悩みを抱えている人にオススメなのが『DeepL翻訳』というアプリだ。テキストだけでなく、画像ファイルを翻訳にかけられるため、英文の意味がとれない時に使用すれば、読解の助けになる。

アメコミは緻密に書き込まれたアートを鑑賞するだけでも楽しい。だが、その物語をより深く理解できれば、更なる面白さを発見できるだろう。完全とまでは言えないが、『DeepL翻訳』は数多ある翻訳ツールの中でも精度が高い。気になった方は以下のリンクから、アプリをダウンロードしてみてはいかがだろうか。

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DeepL翻訳

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  • 辞書/辞典/その他
  • 無料
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最後に

仮面ライダー』には他のヒーローにない独特な魅力があるため、まだまだ世界で人気を拡大する余地があるはず。『ゼロワン』のアメコミ化は、そのきっかけになるかもしれない。また、国内のファンから一定の要望があれば、『KAMEN RIDER ZERO-ONE』の邦訳が日本で出版されることも十分考えられる。何はともあれ、ファンの後押しがコンテンツを前進させることは間違いない。本記事を読んだあなたが『仮面ライダー』或いはアメコミへ興味を持ってくれたのなら幸いだ。

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