「パトレイバー」の見る順番は?映画1・2やTVアニメ版を時系列・パラレルごとにまとめて紹介!最新作「EZY」も

押井守の『機動警察パトレイバー2 The movie』から現在製作中の『パトレイバーEZY』まで!!

1989年よりスタートした機動警察パトレイバーシリーズ。メディアミックス作品として始まった本作は、ゆうきまさみ出渕裕伊藤和典高田明美押井守という、錚々たるメンバーの集まったグループ「ヘッドギア」を原作に、TVアニメや映画、小説、漫画など様々なメディアでパトレイバーの世界を展開してきました。特に劇場版『機動警察パトレイバー the Movie』とその続編『機動警察パトレイバー2 the Movie』は、監督があの押井守ということもあり熱烈なファンが多い作品です。
現実に即した警察ロボットと魅力的なキャラクターで現在も人気な作品である一方、作り込まれた世界観やメディアごとに異なる設定・時間軸など、これから「パトレイバー」を見る人にとっては少々複雑で入りづらいシリーズの一つ。
今回はそんなパトレイバーシリーズを同じ時系列を持った作品ごとにご紹介!これからパトレイバーを楽しみたい人に向けておすすめ!

目次

機動警察パトレイバー』シリーズとは?

あらすじ・世界観

ハイパーテクノロジーの急速な発展とともにあらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械「レイバー」。 しかしそれは、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特殊車輌二課を創設してこれに対抗した。 通称、“特車二課パトロールレイバー中隊”「パトレイバー」の誕生である。

機動警察パトレイバー公式サイト「https://patlabor.tokyo/

舞台は「レイバー」と呼ばれる人型の作業用機械が登場した現代日本東京湾埋め立て計画「バビロンプロジェクト」や通常の建設現場など、レイバーが様々な場所で活躍する一方でレイバーを使用した犯罪も急増。そんなレイバー犯罪に対応するため導入されたロボットのおまわりさんパトレイバーと、それを扱う「特車二課第二小隊」のメンバーたちを主人公にしたこの物語。
日々のレイバー犯罪の対応から国家ぐるみのクーデター事件、レイバーを開発するハイテク企業との争いや、果てには怪獣退治まで、最新鋭のパトレイバーを導入した第二小隊は様々な事件に巻き込まれていきます。

作品一覧

まずはここから!「初期OVA」「劇パト1」「劇パト2」「実写版パトレイバー

1989年に公開された最初のパトレイバーである機動警察パトレイバー アーリーデイズ(初期OVA)』。この「アーリーデイズ」から始まったパトレイバーシリーズは、映画『機動警察 パトレイバー the Movie(パト1)』『機動警察パトレイバー2 the Movieパト2)』、そして2014年公開の実写版THE NEXT GENERATION パトレイバーへと繋がっていきます。 その中でも押井守監督の手がけた『機動警察パトレイバー2 the Movie』はシリーズの中でも屈指の人気を誇り、その独特な台詞回しでパトレイバーシリーズとしてだけではなく押井守作品としてもよく名前が上がる作品のひとつです。

1988年『機動警察パトレイバー アーリーデイズ』(初期OVA

新米警官の「泉野明」が第二小隊の一員として街の平和を守るため奔走する「アーリーデイズ」。特車二課がある埋立地での日常はここから始まりました。

主人公の泉野明や篠原遊馬、後藤隊長などシリーズの主要キャラクターによるドタバタな日常物語や、ロボットが存在する現実の社会という特有の世界観がこの「アーリーデイズ」でも描かれており、パトレイバーシリーズのテーマをしっかりと感じられる作品です。

1989年『機動警察パトレイバー the Movie』(パト1)

自衛隊のレイバー暴走をはじめ、都内各所で暴走レイバー事件が勃発。対処に追われる特車二課は、東京湾埋め立て計画バビロンプロジェクトやレイバー用の新OS「HOS」を巡った事件に巻き込まれていきます。

アーリーデイズの好評を受け製作されたシリーズ初の劇場アニメ。ロボットアニメの派手なアクションに加え、警察ドラマとしての側面を持ったパトレイバーのサスペンスを二時間で楽しめる映画として人気な作品。2020年には4DX版が製作され全国で上映されました。

映画としての完成度も非常に高く二時間で完結するため、初めてパトレイバーシリーズとしても最適。
最初に見るパトレイバーとしては前述の「アーリーデイズ」か、この『機動警察パトレイバー the Movie』がおすすめ!!

1993年『機動警察パトレイバー2 the Movie』(パト2

2002年、横浜にかかる巨大な吊り橋「ベイブリッジ」が何者かに破壊される事件が発生。このベイブリッジ破壊事件はテロとして処理されるものの、特車二課の後藤・南雲両隊長のもとには元自衛隊員「柘植行人」によるクーデターの情報がもたらされ……。

これまで独特なキャラクターで特車二課を率いてきた後藤と南雲を中心に描いた機動警察パトレイバー2 the Movie。これまで主人公だった野明と遊馬はすでに第二小隊を離れており、物語もロボットアニメから警察ドラマとしてのシリアスなストーリー展開が特徴の作品です。パト1に比べてシナリオが重厚かつより複雑で、押井守監督らしい作品となっています。織田裕二主演の『踊る大捜査線』シリーズは、ここから影響を受けたといわれることも。

他のシリーズに比べて主人公が違う点や、いわゆる押井節がより強い作品であることから、「パト1」を観た後の鑑賞がおすすめ。もちろん押井守ファンなら、この作品からパトレイバーに入るのも十分アリ。

2014年『THE NEXT GENERATION 機動警察パトレイバー』(TNG

2014年に実写シリーズとしてスタートした新しいパトレイバーがこの『THE NEXT GENERATION 機動警察パトレイバーです。単なるアニメの実写化ではなく、パト2から11年後の第二小隊を舞台にしています。唯一、整備班の「シバシゲオ」(演:千葉繁)が在籍するのみで、小隊メンバーは隊長以下が全員が別のキャラクター。しかし皆かつての第二小隊のそっくりさんという設定で、名前も「泉野明(いずみの あきら)」(演:真野恵里菜)や隊長の「後藤田継次」(演:筧利夫)など初代メンバーを彷彿とさせるようなネーミングに。オリジナルのメンバーはほとんど登場しないものの、彼らのその後などが語られるのでファンにとっては見逃せない一作です。 実写版は30分一話からなる短編全12エピソードと映画『THE NEXT GENERATION 機動警察パトレイバー首都決戦』の2つが存在。映画版はパト2のストーリーが意識されており、そちらを先に観ておけばより楽しめるでしょう

特車二課のドタバタな日常!「TVシリーズ」「新OVA

警察のお荷物として東京湾の「埋立地」からひっそりと平和を守る特車二課の面々が、謎の黒いレイバーを巡る事件に巻き込まれる機動警察パトレイバー ON TELEVISION』とその完結を描いた機動警察パトレイバー NEW OVA
TV版として放映された50話以上のボリュームで、特車二課の日常物語とシリアスなストーリーが絡み合います。特に敵キャラクターとして登場する「シャフト・エンタープライズ」の内海課長は、不敵な笑みと掴みどころのない性格でファンからも人気なキャラクターの一人です。

1989年『機動警察パトレイバー ON TEREVISION』(TVシリーズ

特車二課の埋立地での日々と、謎の黒いレイバーグリフォンとの戦いを描いた本作。TVシリーズ全52話の中で主人公泉野明や篠原遊馬のレイバー隊員としての成長をシリーズ通して見られます。このTV版と後述漫画版でのみ登場の熊耳武雄と内海は物語上でも重要な存在。特に内海は物語後半から敵キャラクターとして特車二課の前に立ちはだかります。

1990年『機動警察パトレイバー NEW OVA』(新OVA

TV版で描かれた特車二課とグリフォンの死闘。機動警察パトレイバー NEW OVAではその最終決戦が描かれます。内海率いる企画7課のその後や、TV版で出てきたその他の敵キャラクターも再登場するなど、OVAのクオリティで12話かけてTV版パトレイバーの総決算が行われます。TV版では交わることのなかった、香貫花クランシーと熊耳巡査の邂逅やファンから人気な後藤・南雲両隊長の微妙な関係を描いた回など、本筋から離れたキャラクター同士の関係性をより垣間見ることができる人気のシリーズです。

アニメから離れたオリジナルストーリー 漫画版『機動警察パトレイバー

全22巻からなる漫画版『機動警察パトレイバー。大筋は「シャフト・エンタープライズ」を中心とした内海と特車二課の戦いを描いているなど、TV版に近い物語となっていますが、TV版とは違う展開やオリジナルのストーリーが繰り広げられ、TV版を観た人でも十分に楽しめます。
特に「廃棄物13号」編は、リアルロボット路線のパトレイバーでありながら、突然変異の怪獣と戦うという他のメディアとはまた違った毛色のストーリーを見ることができます。

その他、独立した時間軸をもつ『WXⅢ』『REBOOT』

以上が主なパトレイバーシリーズの解説ですが、それらの時間軸から外れた物語も存在します。その一つが『WXⅢ 機動警察パトレイバー。前述の漫画版に登場した「廃棄物13号」編をもとにしたストーリーですが、特車二課とは全く関係のない二人の刑事を主人公に据えているなど、オリジナルの展開が詰め込まれています。また漫画版の物語と展開も若干異なるため、漫画版を読んだ方でも十分楽しめるような作りに。パト2のようにアクションシーンよりもストーリーに寄った構成ですが、このWXⅢはより物語が重厚になり、ロボットアニメというよりは刑事ドラマに近い話に。警察を題材にしたパトレイバーらしい自由な作りとなっています。

また、2015年に公開された短編パトレイバーREBOOT』はこれまでのシリーズから更に離れた設定に。「日本アニメ(ーター)見本市」で公開された本作は2010年代の日本を舞台に、新たな特車二課を迎えたパトレイバーの物語が繰り広げられます。短編ながらロボットのアクションがふんだんに詰め込まれており、満足度が高い一作です。

おわりに

「ロボットのおまわりさん」を題材に、様々なドラマを展開してきた機動警察パトレイバーシリーズ。創作集団「ヘッドギア」による企画を原作に、ロボットアニメという枠に囚われず、様々なジャンルを取り入れた物語がパトレイバー魅力の一つになっています。ここで紹介した以外にも、ノベライズ版や世界観を解説したアニメ「ミニパト」なども存在。また現在、最新作のパトレイバーEZY』の製作が明かされており、2022年の8月にはついにパイロット版映像の公開も発表されました。 最初のOVAから30年以上経てなおまだまだ広がるパトレイバーの世界。今後どのような展開がされるのか、期待に胸が膨らみます。